三味線撥修理 その2

津軽撥 鼈甲(惣甲部)付け替え交換+才尻延長鼈甲付け足し加工修理

1.鼈甲(惣甲部)付け替え交換+才尻延長鼈甲付け足し加工修理のご紹介。

関東地方のお客様が弊社HPよりお問い合わせいただき、修理ご説明・お見積もりを経て、ご依頼いただき誠にありがとうございました。

左の手元木製の撥の鼈甲の幅が狭くなってきたので、右の手元プラスチックの鼈甲部分を利用する鼈甲付け替え修理でございます。

また鼈甲を付け替えた木製の撥の全長が170mmになるようにご指定いただき撥先開き幅のバランスを見て才尻に鼈甲付け足し加工にて全長調整。

2.撥本体もですが鼈甲のみの長さも違いますので、入れ替えた際の全長なども考慮して作業に入ります。

3.こちらの奇麗な鼈甲を利用して、木製の撥に取り付けます。先端は少し使用してあるので、付け替えた後はひらき幅を最大限に活かしながらも最小限先出しして新品のように仕上げます。

4.木製の撥に取り付けますので手元の上辺のサイズ計測

5.木製の撥に取り付けますので同じく上辺のサイズ計測

6.木製の撥の下辺サイズ計測

7.木製の撥に取り付けますので下辺サイズ計測

8.画像は修理完成後になっております。

計測することで、プラスチック手元に付いていた鼈甲の方が接着部横幅上辺下辺ともサイズが大きいため付け替え可能です。両方とも鼈甲を奇麗に外して、片方に再度奇麗に接着し、手元幅に合わせて手元幅の余分な部分は削り仕上げます。

今回は削りましたが、鼈甲に幅を合わせる場合は木の手元の両端に土台を付け足して加工することも可能な場合もございますので見積り時にお話するかたちになります。

9.鼈甲を比べてみますと、横幅や開きに差があるのがわかります。手元幅とひらきのバランスを考えると付け替えた奇麗な鼈甲もひらき幅をもう少し狭くしてバランスを取った方が強度は上がる点などを見積り段階でお客様とやりとりし、今回はお客様のご要望でひらき幅最大限活かすという仕様になり、画像のように最大限ひらき幅を出しながらも若干の強度も出した撥の曲線仕上がりになっております。

10.いままで付いていた鼈甲とのひらき幅比較。奇麗な付け替えた鼈甲は先出ししてもひらき幅80mm以上保てました。元々付いていた鼈甲は幅が狭くなり約72mm程でした。

11.いままで付いていた鼈甲はひらき幅は狭かったのですが、奇麗な鼈甲よりも鼈甲のみの長さは長かったことが、重ねることにより分かりやすいと思います。そのため、才尻に別材料を足すことにより、お客様の求める全長に仕上げていきます。

木製、象牙、鼈甲での付け足しを提案させていただき、鼈甲での付け足し加工をお選びいただきました。

鼈甲単体の厚みには限界がありますので付け足す厚さにより鼈甲の板を数枚重ねて全長を出していきます。

12.今回の全長付け足し加工は鼈甲二枚を底に貼り合わせてご指定の全長になるように仕上げてあります。

御客様の木製の撥の特徴として、才尻に向かって手元が拡がっていないので、同じような仕上がり、もしくはプラ手元のように才尻が拡がったかたちにするかもお話してお客様のご要望で拡がらないかたちでの仕様で加工仕上げ致しました。

 

13.横から見たかたちでの仕上がりで木製の手元にも鼈甲が自然と組み合わさっており、見た目も良いです。

14.全長に合わせて付け足しております。

今回は2枚分合わせてあります。

15.お客様のお気に入りの手元にお気に入りの奇麗な鼈甲を付け替え加工して、再利用しながらご自身だけの特別仕様に仕上がっています。



津軽撥 耳先出し加工+才尻延長象牙付け足し鼈甲再利用加工修理

1.鼈甲耳先出し+才尻延長象牙付け足し鼈甲再利用加工修理のご紹介。

関東地方のお客様が弊社HPよりお問い合わせいただき、修理ご説明・お見積もりを経て、ご依頼いただき誠にありがとうございました。

当初はかなり奇麗な鼈甲撥の開き幅を両耳付け加工で大きくして全長も長くするご依頼でしたが最上級の鼈甲素材がもう手に入らない状況をお伝えして耳先出しと才尻による全長加工になりました。

2.撥のもう一面の柄もほぼ飴色でとてもきれいです。画像では分かりにくいですが両先端が若干丸くなっている部分をサイドのR曲線を削ることにより、耳先出しをすることになります。

細かい面の糸道も勿論滑らかに磨きあげていきます。

3.こちらの底に薄い奇麗な鼈甲が貼ってありましたので再利用出来そうであれば、象牙で付け足し全長加工の底部に再度貼り付け致します。

4.今回は手元プラスチック製の撥に同じプラスチック素材ではなく象牙を取り付け、底にいままで付いていた鼈甲を再度加工してご希望の全長に仕上がってきました。

5.撥上辺からのサイズ計測でお客様ご希望の160mmに仕上がってきています。奇麗な象牙を使用しており、異素材での延長加工でも見た目のバランスよく、薄い鼈甲がさらによいアクセントになっています。

6.横側から見ても奇麗な象牙と薄い鼈甲の組み合わせが上品です。

7.惣甲撥と同じ飴色が多い最上級の鼈甲が底にもあるので、見た目のバランスが非常によく存在感あります。

 

8.貴重な鼈甲撥でひらき幅は最上級の飴色鼈甲素材不足の関係で両耳付け加工はお受けできませんでしたが、全長を象牙、再利用の鼈甲とこちらのご提案をお聞きいただき、まだまだ大切に使っていただけるようにお客様とやりとりをしながら仕上がりました。



津軽撥 鼈甲(惣甲部)付け替え交換+全長170mm加工(惣甲付け直し、全長170mm前後、虫食い・スレ修理、両耳先端先出し加工あり)

1.鼈甲(惣甲部)付け替え交換+全長170mm加工修理のご紹介。

関東地方のお客様が弊社HPよりお問い合わせいただき、修理ご説明・お見積もりを経て、ご依頼いただき誠にありがとうございました。

左のプラスチック製手元が割れており、右のプラスチック手元のみに左の鼈甲を利用する鼈甲付け替え修理でございます。

また鼈甲を付け替えた撥の全長が170mmになるようにご指定いただき撥先開き幅もなるべく狭くならないように最小限で耳先出しを致しました。

2.鼈甲(惣甲部)のみの長さと手元の長さが組み合わせても全長170mm以上ございましたので、手元の上部黄色丸の部分をカットして全長調整加工。

3.再利用する鼈甲(惣甲部)をまだ外す前の段階。スレ傷、先の欠け、虫喰い、ヒビ割れなど実物を見て気になった細かい部分をお客様にお伝えしながら修理内容調整致します。

こちらの鼈甲を外し、付け替えて奇麗に仕上げますので。

4.今回はこのヒビ割れて少し浮いた状態の鼈甲(惣甲部)を剝して、再度別の手元に接着する作業が一番難しい箇所かと思い、どう職人が仕上げていただけるかを職人と密に出来る範囲の要望なども連絡確認しながら対応致しました。

5.裏側の面も細かい虫喰いございましたので修理。

6.サイド側も使用というよりは虫喰いが目立ちました。R曲線による先出し加工の流れで修理。

7.先端が少し欠けてザラザラしています。今回はサイドのR曲線を削りながら先端部分のスレや細かい欠けなどを修理しながら最大限の開き幅のご要望。

8.付け替え完了完成品

ひらき幅はほぼ82mm(81~2mm)で仕上がってきました。

またヒビ割れの部分も近くで見て言われないとほぼわからない状態で仕上がってきました。

9.虫喰いやスレ傷なども修理により新品のように奇麗に仕上がってきました。

 

10.修理完了後全体図。付け替えも奇麗に仕上がり、鼈甲も手元も再利用でき、しっかり弾ける状態になりました。勿論全長も170mmで仕上がってきております。

11.裏側も奇麗に仕上がってます。

お持ちの撥を修理して再利用したい等と思っていらっしゃる方は是非お問い合わせいただけたら幸いでございます。



津軽撥 総鼈甲撥(全体磨きスレ修理、両耳先端先出し加工あり)

1.全て鼈甲で覆われた特殊な津軽撥のご紹介。

関東地方のお客様が弊社HPよりお問い合わせいただき、修理ご説明・お見積もりを経て、ご依頼いただき誠にありがとうございました。

 

また撥先開き幅もなるべく狭くならないように最小限で耳先出しを致しました。

2.両先端が少し傷がありますので磨きと削っての先端先出しをすることになりました。

3.黒の↓を先端にする形で横側R曲線を削っていき、先出すようにします。

4.裏側は先出ししつつギザギザの部分を磨き、滑らかにします。

5.表面のダメージの状態を説明して、修理有無などを選んでいただくようにしています。

6.ひらき幅を最大限活かす形で削り先出しと磨きを行い、綺麗に仕上げました。

7.画像では分かりにくいですが、手元も含めて全体も磨きあげて、新品のような綺麗な状態になり、また永く使っていただけるようになりました。

貴重な鼈甲撥ですので、虫喰いなどにも注意いただき、沢山使っていただいた後に、またメンテナンスいただければ幸いでございます。

 



津軽撥 各種修理一覧(6丁のうちの一部)

1.鼈甲を剝して、ご指定の手元に付け替え修理。

2.お客様のご指定のままですと、手元の盛り上がりとのバランスもあり。もう少し深くカットすることをオススメさせていただきました。

3.奇麗に仕上がっております。

4.新しい撥として生まれ変わりました。

5.別の撥修理:黒の↓を先端にする形で横側R曲線を削っていき、先出すようにご指定をいただきましたが、赤の↓に虫喰いがございましたので、

6.別の方法をオススメしました。

上辺が個人で加工なさったようなクサビ型になっていましたので、そこを奇麗にすることで開きを活かしつつ仕上げる方法です。

7.わかりにくいですが、特殊な先端になっており、ガサガサしておりましたので、奇麗にカットして仕上げました。

8.全長指定と底部鼈甲貼りご依頼もいただいており、才尻カットした際に鉛がむき出しになりましたが、お客様とご相談して鉛がわかりにくいような鼈甲でカバーして仕上がりました。

9.奇麗な鼈甲で貼り付けて鉛を分かりにくくしています。

10.別の撥修理:手元紅木台が厚みがありお客様の手には握りにくいとのことで、厚みを削るかたちと四隅の角を若干丸みがつくようにオススメしました。

11.お客様に6丁預かっていた中のどの撥の握りに近づけたほうがよいかのやりとりをさせていただきました。

※今回は手元の厚みでしたが、しなり具合調整の場合はこの撥のしなり具合に、などのようなサンプルも一緒にお預かりできれば助かります。

 

12.横から鉛を入れた加工の手元紅木台ですので、薄める場所を注意しながら仕上げていただきました。

 

13.正方形に近かった底部が長方形のように、上下の面で薄めて握りやすくしてあります。



津軽撥 各種修理完成画像(6丁)


関東からのお客様が何度もリピートご依頼いただき、誠にありがとうございました。